2018年08月07日

水乃博士の「水と緑の話」 EV向け全固体電池

EV向け全固体電池

全固体電池と聞いて、いったい何だろうか? と思う方が多いかもしれません。
では、リチウム電池(LIB)が発火した事故(ノートパソコン、スマホ、航空機内)を覚えていると思います。その原因は、LIBの電解質が有機溶媒であるからなのです。
電解質が固体セラミックになれば、不燃性、温度依存性、高電圧性、充放電性、漏出などの面で、大きな改善ができると考えられます。

水乃博士は、なぜか電池に興味があってこうした文献をよく読んでいます。電気エネルギーを簡単に保存して、後日に使えるという考え方が実に興味深いと感じます。
最近の自動車の開発は電気発動(EV)に向かっています。特に中国では、ガソリン車を無くすくらいの勢いで開発と普及に走っています。

しかし、一番の問題が電池;バッテリーにあります。
出力(電圧;V)ばかりか、容量(重量エネルギー密度;Wh/kg)、自己放電率、充放電特性などが指標になり、特に重量エネルギー密度は、バッテリーの重量、大きさに関わり、
EVの軽量化とそこに伴う燃費、充電後の走行距離に関係する問題です。
では、単純比較をしてみましょう。
これまでの乾電池NiCd電池は約80Wh/kg 程度、これが最近のLIBでは約250Wh/kg 、つまり3分の1の重量のバッテリーで済むところまで来ました。しかし、まだ安全性と耐久性の面では納得できるものとは言えないのです。
そこで、全固体電池です。トヨタ、東工大のグループが、LiGePSの開発をはじめに、LiSiPSClを開発し、約500Wh/kg まで来たそうです。
従来のEV1台で、最低4KWh、20時間以上の放電が可能という条件で合格であれば、大きな技術変革にすぐ結び付きそうですが、今後のEVでは自動運転制御、外部信号のやり取り、AI、デジタル表示、画面表示などの電力消費がさらに増大する見込みで、10KWh以上になるといわれます。しかし、かなり実現性の高い実用的な電池になりそうですね。
リチウム電池の材質.gif

次に、このバッテリーへの充電の問題があります。
最近は、多くの場所で充電ステーションを見かけるようになりました。
この充電という工程の課題は、早く短時間にできる(大量な入出力の特性)、繰り返しの充電性能があり、自然放電が少なく、発熱ロスが小さく済むという条件です。上記の新全固体電池は入出力の面で、従来LIBの2倍以上、さらに充電時間も分単位になる可能性が高い、そして繰り返し性もすでに1000回以上の確認が済んでいるという。
しかし、大量の電流を一気に流しつつ充電する機構の問題や、電極殊に負極(還元性)の材質に関しての伝導率など、実用化には乗り越える課題がまだありそうです。
固体電池.jpg

ここまで、EV車の普及に関してバッテリーの進化がキーポイントになっており、全固体化という素晴らしい材料が出てきたというお話をしました。使う側の技術進歩はいいのですが・・・ では、この電気エネルギーはどこから得るのでしょうか?

当然、発電所から電気は来ますので、原子力発電という高効率な手段が浮かんでくるでしょう。中国のEVの普及には、30基以上の原子力発電所が必要であるという試算がなされています。石油を使わない…だから電気を使う、そして原子力を使う…というのは、
水乃博士の思考には合いません。
どうか、太陽光利用、地熱利用、風力発電、潮流発電などの自然エネルギー活用に向かってほしいものです。微量なエネルギーを集めて大量に蓄積しておき、大容量化して用いるような発想が、このバッテリーの機能に期待したいところです。

参照:  Nature Energy 日本語サイト 次世代電池を牽引する、全固体電池開発。
リチウムイオン電池の豆知識 HP

リチウム電池、電気自動車でヒットした商品




posted by 水乃博士 at 16:47| Comment(0) | 技術、開発、水処理、放射性物質 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月26日

水乃博士の「水と緑の話」 UV-LEDの水処理適用

UV-LED 紫外線を発する発光ダイオードについて

水乃博士が、最近の水処理装置技術で感心した“UV-LED照射装置”についての話をしたい。

まず、LEDとは何か? light-emitting diode;発光ダイオードのこと。
なぜ半導体チップが光るのか: LEDチップの基本構造は、P型半導体( + :positive 正孔が多い半導体)とN型半導体( - :negative 電子が多い半導体)が接合された「PN接合」で構成されます。LEDチップに順方向の電圧をかけると、LEDチップの中を電子と正孔が移動し電流が流れます。移動の途中で電子と正孔がぶつかると結合(この現象を再結合という)し、再結合された状態では、電子と正孔がもともと持っていたエネルギーよりも、小さなエネルギーになります。その時に生じた余分なエネルギーが光のエネルギーに変換され発光します。赤や青、緑の光を発するものがあるのは、LEDチップに使われる化合物の種類にあります。Ga(ガリウム)、N(窒素)、 In(インジウム)、Al(アルミニウム)、P(リン)など、半導体を構成する化合物によって、放出される光の波長が異なります。(Panasonic Biz 参照、引用)
LED 発光と添加金属類.png

最近、その添加する化合物に、P(リン)、B(ボロン)を加えて、基盤素材にダイヤモンド(Carbon の結晶)を用いることにより、特に短波長の紫外線(250nm 以下)を出すことができるようになりました。(つくば、物質・材料研究機構発表)
その応用が、水処理、空気清浄向けの殺菌灯、有機物分解向けの UV-LEDです。
これまでの材料配合では、350nm付近までの波長であり殺菌用途ではまだ不十分とされていたものが、235nmの光も出すところに到達しました。
まだまだ、照射量の設定や、波長の調整、寿命の考え方(一般では70%減を寿命4万時間)、装置の構成の仕方などの課題はありながらも、すでに殺菌性能は十分保証できている模様です。これまでの紫外線ランプでは、水銀を使っていること、電気使用量が多いこと、寿命が短い;1万時間)、壊れやすい、ランプ外筒管が高価などの問題がありました。

こうした新しい技術により、より環境にやさしい方法で水処理が行われ、きれいな水環境が作られることを大いに期待します。


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2018年04月20日

水乃博士の「水と緑の話」 ボロンの水処理(純水系)

ボロンの水処理について(1)

ようやく本来の仕事が落ち着いてきたところで、真摯に水処理の話を始めることにしよう。
超純水の処理にあたって最近は金属などの水質レベルは10pptになり、有機物(TOC)も5ppbが標準という。水乃博士が超純水をよく扱っていた15年ほど前では、その10倍以上の濃度の保証であった、・・・というよりも水質分析技術が向上したがために真の超純水水質の実力が表出したと考えたほうがいいのだろう。

さて、そんな中で、処理が難しいのが表題のボロンである。
ボロンと聞くと、ガラス原料、ホウ酸、中性子制御棒、金属表面加工における光沢処理や表面保護のための被膜形成などが大きな用途(ゴルフクラブ、釣り竿、食器など)なのだが、半導体製造の分野ではNPチャンネル形成における重要な調整イオンなのだ。多分、これでは何を言いたいのかわからないので話を簡単にすると、ボロンとリンとヒ素イオンを微量に混ぜることにより、電気的な流れを制御する回路を形成する。よって、ボロンがICの洗浄用超純水に含まれていると、この制御がうまくいかなくなる。

では、このボロンを除去する処理はどのようなものか。
まず、ボロンの性質を知っておこう。元素番号5、原子量10.81、モース硬度9.3(ダイヤの次)、自然にはほぼホウ酸体として存在する。

処理方法には、イオン吸着、凝集沈殿、膜分離、溶媒抽出などがあるが、純水処理では膜法とイオン交換、EDI法が用いられている。ホウ酸体ならばイオン的な排除が容易だが、微量(ppbレベル)に存在するボロン単体となると、ほとんど処理ができないといえる。そのために、逆浸透膜前にこれまでTOC分解などで有効であった紫外線酸化の酸化作用を生かし、ホウ酸体として処理を行っている(どこまでの酸化が可能かは不明)のが実態であろう。

なお、ボロン単体が純水系に入るとすると回収系排水からの流入と想定されるために、上記の紫外線分解や、過酸化水素分解などの直接酸化処理が膜処理前の処理として、またも重要視されてくることになるのだろう。
少し、専門的に過ぎたかもしれない、難しい処理に対して技術的な挑戦は続けていきたい。

次に機会があれば、ボロンの飲用水処理についての話をしたい。

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posted by 水乃博士 at 11:53| Comment(0) | 技術、開発、水処理、放射性物質 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月09日

水乃博士の「水と緑の話」 発電所向け水処理装置開発

水乃博士の発電所向け水処理装置開発

しばらく水乃博士として筆をとらない日々が続きすみませんでした。
2017年5月からI社とともに、舞鶴の発電所で膜による水処理装置の開発をおこなっていました。詳しい内容は、「用水と廃水」3月号に実名で記述していますので、参照ください。
簡単に説明すると、従来から石炭排水は凝集沈澱法をとってきたが、博士の考えで、凝集剤無し、重力沈降、膜処理にて、極めて効果的な処理が可能になる方法を確立させた。
すでに、2件の特許を出願し終わり、論文書きも終えて、やっとほっとしたところです。
だからといって、ブログも書かないというのはおかしいと思われますが、ほかの特別な事情もあり(次回のブログ参照)、静かにして居りました。すみません・・・
装置.jpg

では、もう少し、この膜処理について話をしましょう。
石炭火力発電所で、石炭を港で受けてからボイラーで燃焼させるまでは、延々とコンベヤがこれを運びます。途中にサイロがあり、循環があり・・・実に約3kmに及ぶコンベヤに載るのです。そこで、粉炭がどうしても発生します。これが、いわゆる粉塵火災の原因になるために、常に温度を下げ、粉塵を洗うために洗浄水が使われます。この洗浄水が、かなりの量になり、常に回収再利用をしています。この再利用の処理が、なんと30年も前から凝集沈澱法をとってきたのです。
凝集とは、粒子の荷電性を調整しつつ絡めて、粒子に大きさを大きくして沈澱させる方法です。しかし、粉炭は大きく(0.5〜3μm粒子)、さらに石炭のみの単質粒子であるために、しっかり凝集する条件が整うにはもともと難しいものなのです。
そこで、膜処理を適用するのですが、これがMBR(膜法生物処理)のような処理を想像したらうまくいきません。物理的に強い膜、薬品洗浄に耐えられる膜、逆洗が可能な膜を使い、効果的な処理条件を確立させました。
ご興味がある方は、用水と廃水の3月号 をご覧ください。

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posted by 水乃博士 at 09:48| Comment(0) | 技術、開発、水処理、放射性物質 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月08日

水乃博士の「水と緑の話」 シェルオイルの水処理

シェルオイルのための水処理

水乃博士は、シェルオイル関連についてかなりの環境汚染、環境破壊を観てきており、その活用に関しては懐疑的だ。しかし、常に石油価格との折り合いから、その利用が計画されている。

まず、オイルシェルとはなんだろうか。
油母頁岩、油質頁岩、油頁岩は、ケロジェン(油母)を多く含む岩石であり、ここから化学処理により液状またはガス状炭化水素にできる。油母を熱分解して、合成石油に加工できて、オイルシェルガスも発生する。石油の代替エネルギーになるので、採掘費用、加工費用などの総合的な判断から、石油価格とのバランスによって、生産の調整が行なわれている。
オイルシェルの推定埋蔵量は、2.8〜3.3兆バレル。石油の1.4兆バレルなので埋蔵量はかなり多い。最大の埋蔵は、アメリカのグリーンリバー層(コロラド、ユタ州)といわれる。他、オーストラリア、エストニア、ヨルダン、ブラジル、中国、ロシアに多い。
但し、オイルシェル1トンから150Lのシェルオイルが採油される、ちなみに石炭ならば650L、といった生産経済性の問題がある。

 なお、シェルオイルは石油原油とは性質が異なり、オレフィン(不飽和炭化水素;化学原料になる)を多く含み粘度が高く、硫黄含量も9.5%と高い。石油は、硫黄0.5%程度。
よって、その精製にコストがかかる。
そして、さらに採掘の採算性と環境問題の発生が、大きな課題となっている。オイルやガスとして取り出す際に、地中燃焼法が行なわれると、有害物質ことに重金属、硫黄酸化物などが地中に廃水として残留し、地下水汚染や下流河川の水質汚濁につながっている。なお、採掘法の一環で、断層への加圧水の封入という方法があり、地質の改変や地震の発生といった問題もおこっている。
 
そこで、水処理に対する期待が高まっているのだが、生産コストとの兼ね合いが大きく高度な技術の適用は難しい状況である。1バレルのオイル生産には5バレルの水が必要となるといわれ、水不足の砂漠地帯においては汚水の回収再利用の技術が望まれている。
 やっと水処理にたどり着いた。

これまで、有害物質を含んだ廃水は地中深く油井に廃棄していたのだが、環境問題と水不足の面から、処理と再利用に期待がよせられている。その処理が、「随伴水処理」と呼ばれる石油類掘削廃液処理技術である。

水乃博士は、以前オーストラリアのシェルオイル掘削廃液の処理計画に携わった。そこで、経験したのが、廃水の原水水質がかなりに広範囲であり、一様な技術の適用では解決できないという実態であった。
油類の含有は当然のこととして、塩類TDSが約15万ppm(15%)内硬度が10万、Sr、Baなどの膜面閉塞につながる塩類が2000ppm、SSは500程度。場所によって、硫酸塩は大きく変動10〜200ppm。回収を考えるには、かなり厳しい条件である。

コストをかけずに、大量の処理を一括に行なうという命題の元で回収までが要請された際の計画を行なった。当初の処理量は、2万トン日。
* まず、排水原水を受水したところで、下層部5%、上層部5%の廃水を処理対象から排除した。オイル分が60%程度、塩類も10%が減量した(机上試験)。
* 硬度成分、硫酸塩、塩類を凝集条件に含めて共沈を考えての凝集沈殿の実施。鉄塩が原水には50ppm程度あったので、ポリ鉄の作用を期待しての条件を作り、ポリマーを選定した。硬度が20%以上減量したことに効果を見出した(机上試験)。
* 何とか脱塩用途に逆浸透膜を適用したいので、原水塩濃度TDSで50,000以下にする可能性を配慮。蒸留法とのハイブリッドを計画。
* 処理水の目標値を、明確にする。飲用水レベルにする必要性はない。TDS5000 でも良いはず。
* Ca, Baに注目した処理剤を適用する。凝集、分散作用ともに配慮。
* その用途を明確にした処理を提案する。
* 残留する廃棄物の処理も配慮する。

などの方針を立てた上で、処理ごとのマテリアルバランスを示しつつ、顧客と交渉した。
しかし、その答えはかなり厳しく、ランニングコスト1m3処理で1ドル(約110円)を条件にして欲しい、であった。熱エネルギーは無償でいいという条件が出てきたが、ポリマー、分散剤、膜処理費用が、足かせになる。

処理量も、3万トン日に増やすことになったので、m3コスト面ではやりやすくはなったが、
1ドルの壁は相当に厳しく、検討に時間がかかっていた。

計画に6か月程度が経過したところで、なんとアラブの原油価格引き下げがあり、このプロジェクトは採算割れのために無期延期という状態になった。
そのころは、まだ上記のような経済的な価格バランスの中で、シェルオイルは生産されているということが充分に理解できず、検討もおろそかな中、ひどく理不尽な気がしていた。
こうした技術が、すべて経済原則の中で決定されるということをまざまざと知ったのだが、検討してきたものが机上のものだから金銭的なロスがない、と思われるのも癪な話だ。
ヨーロッパ式に、計画検討の費用を最初から見積りとして請求しつつ、作業を進めたいと案じたが、日本企業相手では無理な話なのだろうな・・・

アメリカが、2017年からシェルオイルを化学産業むけに生産量を上げる話があったので、その汚染防止技術を少しだけ、話したくなりました。

こんなお話、または装置計画などがありましたら、水乃博士にご相談ください。
mazazaz88@gmail.com
Dr.Azuma,
東雅

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posted by 水乃博士 at 14:35| Comment(0) | 技術、開発、水処理、放射性物質 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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