2018年08月15日

水乃博士の「水と緑の話」 砂漠化との闘い

砂漠化との闘い

砂漠とは、「乾燥地域、半乾燥地域、乾燥半湿潤地域における気候上の変動や人間活動を含むさまざまな要素に起因する土地の劣化」と定義されている。
水乃博士は、水処理とともに緑の土地改良を進めることを願っており、砂漠化問題に対する現在の技術的な対策に興味がある。今回は、中国での砂漠化防止策の展開についての情報を見たので、そこを交えてのお話を進めたい。

まず基本的な知識として、なぜ砂漠化は進行するのだろうか。
@ 自然環境の変化: 降雨の減少、乾燥化。気象条件の変化。
A 森林伐採、放牧、農地化(焼き畑)などの人為的な土地の劣化。
B 塩害による土壌の劣化。灌漑が不十分な農作業の結果。
C 人口増加: 食糧生産のための農地拡大、住居土地の開発による緑地減少。
多くは、人為的な環境の悪化が砂漠化を招いているようです。
乾燥地域は地表面積の約41%を占めており、暮らす人々は20億人以上、その少なくとも90%は開発途上国の人々、砂漠化は食料の供給不安、水不足、貧困の原因になっている。さらに毎年6万km2の大きさで砂漠化が広がっているらしい。

2017年10月にCOP13があり、そこで中国が黄土高原の緑化に関する報告を行った。
中国は、世界の耕地のわずか7%で世界人口の5分の1に対する食料を生産しており、耕作地の65%が、中国北部および北西部の乾燥地域にある。黄土高原はこの乾燥地域の一部であり、その広さはフランスに相当。黄土は、数千年にわたり、ゴビ砂漠から風によって運ばれてきた風成堆積物である。黄土高原は中国文明の発祥の地であるが、その理由は、この高原土壌が非常に肥沃であり、耕作しやすいことにある。しかし、水と風による浸食を極端に受けやすく、何世紀にもわたる不適切な管理の結果、土地は痩せ、黄河には膨大な量の堆積物がもたらされた。黄土高原地域の3分の2以上が、土壌浸食を受けていると推定されている。1950年代後期に黄河で行われた観測では、最大で年間3ギガトンの堆積物が確認された。
土壌侵食.jpg
(中国甘粛省平涼の深刻な土壌浸食。Photo: Lulu Zhang / UNU)

こうした土壌浸食を防ぐため、中国政府は1950年代以降、階段耕作、砂防ダムの建設、植生復元(とくに植林)といったさまざまな土壌保全プログラムを実施してきた。森林の構築は、水による土壌浸食を最小限にするのみならず、中国北部における土地劣化対策を目的としたものであった。土地の劣化は農地面積を著しく減少させ、結果的に、持続可能な地域開発を脅かす。
1978年には、三北防護林プロジェクト(中国版「緑の長城」として知られる計画)が立ち上げられた。これは、三北地域(面積148万平方キロメートル)の森林被覆率を2050年までに最大15%拡大することを目指すものであった。しかし、土壌浸食と黄河の堆積物の量が低減された一方で、アジア第三の大河であるこの川の流量に著しい減少が見られた。
黄河流域では総取水量の80%を農業が占め、圧倒的最大の水消費要因となっていることから、流量の減少は中国の食料安全保障に影響を及ぼしかねない問題である。2000年から2010年の間における年間平均流量は、1950年から1999年までの流量平均値のわずか60%に過ぎなかった。植林もまた、重大な影響を及ぼしている。

1949年に6%であった黄土高原の森林被覆が、2010年には26%にまで増加した。森林は、他の土地よりも多くの水を蒸発散させるため、この増加は、中国北部の水資源の減少の大きな一因となった。そして、新たに構築された森林は水不足を背景として一般的により成長が遅く、病気にかかりやすい傾向を持ち、植生の安定性が低い。
干ばつや洪水の頻発および激化が予想されることから、成長社会における水需要の高まりが水と食料の安全保障を脅かし、中国の乾燥地域における社会的な脆弱性や不安定性を増大させる。水資源のさらなる減少を防ぐために、中国は森林・土地・水の統合管理を確立する必要がある。例えば、年間降水量が450ミリ未満の地域では、植林を行うべきではない。

干ばつの起こりやすい地域では、草地化がより適した解決策となる。その理由として、草地は枯渇した水資源の回復を確保しつつ、土壌を安定させる。水消費の少ない土着の樹種を取り入れることや、生育する木のまばらなサバンナ疎林のような森林を構築することによっても、干ばつの状態を緩和することができる。樹種の構成を変更したり、間伐(立木本数の調整)を通じて既存の植林地の森林構造を改めることにより、森林の安定性を高め、ひいては森林の水消費量の抑制につなげる。 
(黄土高原の緑化対策について 2017年10月)

さて、上記の砂漠化対策において大きな変化があったことは、やみくもな緑化、森林化の方法では広域環境の水収支バランスが崩れることがある、ということが分かったということ。もともと水資源の乏しいところに、水消費の大きな樹木が育ってきたら当然その蒸散量が増えて、下流地域に水が行きわたらなくなり、敷いては河川(黄河でさえも)の流水量が減るところまでくるということだ。

そこで水資源管理という考え方の下、森林、草原、農地、河川、地下水脈、などの統括管理を行うことは極めて有効な思考だろう。ここにさらに、有機物(木質資源、バイオマス)量のファクターを加えつつ、緑の資源活用までを炭酸ガス対策と兼ね合わせて思考すると、博士の理想とした総合的な自然資源活用にたどり着くような気がした。やはり、中国の水処理、水環境対策は興味深いものがある。

砂漠に関する商品類:




posted by 水乃博士 at 15:00| Comment(0) | 水と緑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

リンク集