2018年07月11日

水乃博士の「水と緑の話」 体温の調節

体温の調節

暑い!ところで、なぜこの暑い中でも体温は一定にされるのか。最近、水乃博士が読んだ参考書をまとめて解説しました。
私たちが物を食べるのは、新しい細胞をつくるためと、体温を維持するためです。代謝で生じる熱量は、糖質とタンパク質が1gあたり4kcalで、脂肪は1gあたり9kcal。代謝で得た熱の60%は、体温維持のために使われます。健康な人の体温はいつでも36℃前後で、これはホメオスタシスの一種です。

身体内では、食物を栄養素に分解したり、エネルギーに変えたりするなど、生命活動に必要な化学反応(代謝)が絶えず行われています。これらの化学反応は、体内にある数千種類もの酵素が触媒(しょくばい)となって進みます。体温を維持するのは、この酵素の働きをよくするためです。酵素反応は温度が高ければ高いほどよいということではありません。生物体内での酵素が最も活性化する至適温度は36〜37℃。この温度を超えると、酵素は一種のタンパク質ですから変性し、反応速度は急に減少しますます。

ヒトは、体温を一定に保たないと生きていけない恒温動物。どこの温度が基準になっているのでしょうか。暑いときは皮膚温も36℃くらいまで上がり、皮下はからだの奥と同じ37℃くらい。一方、寒いときは足の先などは30℃くらいで、腕の付け根あたりでも32℃くらい。いずれの場合も、脳の温度は37℃に保たれています。つまり、体温調節で最も重要なのは、脳内の温度を一定に保つことです。暑い場所で運動や作業をする際、脳内の温度が40℃以上になることがあり、44℃以上になると脳は障害されます。また33℃以下に下がると、私たちは意識を失ってしまいます。
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交感神経と副交感神経、内分泌、体温調節などの機能はすべて、視床下部が司令塔になっています。視床下部がしている体温調節のメカニズムは、エアコンの自動調節機能に似ていて、セットされた温度(セットポイント)に向かって、体内で産生する熱量(産熱量)と体外に放出する熱量(放熱量)の調節をしています。

身体が体温よりも寒い環境にさらされると、脳の視床下部からは熱を逃がさないようにする指令と、熱を産出するための指令が出されます。皮膚の表面や手足の末端はもともと熱を放出しやすいので、毛細血管を収縮させて、熱を運ぶ血液が流れないようにする。鳥であれば毛を逆立てて空気の層をつくります。こうすると断熱材効果があるからです。ヒトも、寒くなってからだが凍えてくると、鳥肌が立ちます。これは進化の名残かも知れません。放熱を防いでも体温が下がり続ける場合、視床下部は「熱をつくれ」と命令します。寒くなると自然にブルブルとふるえ出すのは、視床下部からの熱を発生させるという命令が筋肉に伝わるからです。

身体が体温よりも暑い環境にさらされると、視床下部からは「熱を放出せよ」という指令が出ます。先ほどとは反対に、毛細血管を拡張させ末端の血流をよくすることで、熱放出を高める。それでも体温が下がらない場合、視床下部は「汗を出せ」と命令します。皮膚の表面で水分が気化して水蒸気になる際、皮膚表面の熱を奪います。これを気化熱といいますが、この気化熱を放出することによって、体温を下げます。このとき、皮膚の表面に空気の動きがあれば、熱放散は促進されます。夏の暑い日に扇子や扇風機を使うと涼しく感じるのは、このためです。ちなみに、汗をかくことのできる恒温動物は人間だけだそうです。
「気化熱」では、水1mLが蒸発すると0.58kcalの熱を奪うといわれています。人間の身体もこの水の性質を利用して、発熱時には汗を出して熱を下げようとします。 やっと水の話になった・・・体温が高ければ高いほど、汗の量が多くなっていきます。汗をかくということは、身体から水分が外に出ていってしまっている状態です。そこで発熱時に水分補給をしないと、脱水症状に陥ってしまいます。

感染症などにみられる発熱は、体温調節中枢の設定温度が発熱物質などによって高い水準にされたために起こります。仮に、設定温度が40℃に上げられてしまうと、体温調節中枢はこの温度になるまで体温を上昇させようとするため、あたかも寒い環境に置かれたのと同じ状況になります。発熱の際の寒気(悪寒)やふるえなどは、こうした対寒反応の一種です。解熱薬などにより発熱の原因がおさまり、設定温度が37℃に戻ると、体温調節中枢はこの温度にまで体温を下げようと働きます。汗をかくと熱が下がるのは、身体の中で酷暑にさらされたと同じ反応が起こっているからです。

一般に37℃が発熱の境界線のように思われていますが、平熱には個人差もある。健康な日本人(青年男女)の腋窩で測定した体温の度数分布をみると、平均値は36.89±0.35℃だが、その変動範囲は35.2〜37.9℃に及んでいます。平熱が35.5℃の人が37.5℃になったら、平熱が36.5℃の人が38.5℃の熱を出しているのと同じ。また、子どもは大人に比べて代謝が活発なため、一般に平熱は高い。

[出典]『解剖生理をおもしろく学ぶ』(編著)増田敦子/2015年1月

やはり水が体温調整に絡んでいるのだが、脳内温度が基点、体内での酵素作用の温度依存とその重要性がよくわかる面白い話だと思います。

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posted by 水乃博士 at 18:18| Comment(0) | 水と緑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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