2017年05月08日

水乃博士の「水と緑の話」 シェルオイルの水処理

シェルオイルのための水処理

水乃博士は、シェルオイル関連についてかなりの環境汚染、環境破壊を観てきており、その活用に関しては懐疑的だ。しかし、常に石油価格との折り合いから、その利用が計画されている。

まず、オイルシェルとはなんだろうか。
油母頁岩、油質頁岩、油頁岩は、ケロジェン(油母)を多く含む岩石であり、ここから化学処理により液状またはガス状炭化水素にできる。油母を熱分解して、合成石油に加工できて、オイルシェルガスも発生する。石油の代替エネルギーになるので、採掘費用、加工費用などの総合的な判断から、石油価格とのバランスによって、生産の調整が行なわれている。
オイルシェルの推定埋蔵量は、2.8〜3.3兆バレル。石油の1.4兆バレルなので埋蔵量はかなり多い。最大の埋蔵は、アメリカのグリーンリバー層(コロラド、ユタ州)といわれる。他、オーストラリア、エストニア、ヨルダン、ブラジル、中国、ロシアに多い。
但し、オイルシェル1トンから150Lのシェルオイルが採油される、ちなみに石炭ならば650L、といった生産経済性の問題がある。

 なお、シェルオイルは石油原油とは性質が異なり、オレフィン(不飽和炭化水素;化学原料になる)を多く含み粘度が高く、硫黄含量も9.5%と高い。石油は、硫黄0.5%程度。
よって、その精製にコストがかかる。
そして、さらに採掘の採算性と環境問題の発生が、大きな課題となっている。オイルやガスとして取り出す際に、地中燃焼法が行なわれると、有害物質ことに重金属、硫黄酸化物などが地中に廃水として残留し、地下水汚染や下流河川の水質汚濁につながっている。なお、採掘法の一環で、断層への加圧水の封入という方法があり、地質の改変や地震の発生といった問題もおこっている。
 
そこで、水処理に対する期待が高まっているのだが、生産コストとの兼ね合いが大きく高度な技術の適用は難しい状況である。1バレルのオイル生産には5バレルの水が必要となるといわれ、水不足の砂漠地帯においては汚水の回収再利用の技術が望まれている。
 やっと水処理にたどり着いた。

これまで、有害物質を含んだ廃水は地中深く油井に廃棄していたのだが、環境問題と水不足の面から、処理と再利用に期待がよせられている。その処理が、「随伴水処理」と呼ばれる石油類掘削廃液処理技術である。

水乃博士は、以前オーストラリアのシェルオイル掘削廃液の処理計画に携わった。そこで、経験したのが、廃水の原水水質がかなりに広範囲であり、一様な技術の適用では解決できないという実態であった。
油類の含有は当然のこととして、塩類TDSが約15万ppm(15%)内硬度が10万、Sr、Baなどの膜面閉塞につながる塩類が2000ppm、SSは500程度。場所によって、硫酸塩は大きく変動10〜200ppm。回収を考えるには、かなり厳しい条件である。

コストをかけずに、大量の処理を一括に行なうという命題の元で回収までが要請された際の計画を行なった。当初の処理量は、2万トン日。
* まず、排水原水を受水したところで、下層部5%、上層部5%の廃水を処理対象から排除した。オイル分が60%程度、塩類も10%が減量した(机上試験)。
* 硬度成分、硫酸塩、塩類を凝集条件に含めて共沈を考えての凝集沈殿の実施。鉄塩が原水には50ppm程度あったので、ポリ鉄の作用を期待しての条件を作り、ポリマーを選定した。硬度が20%以上減量したことに効果を見出した(机上試験)。
* 何とか脱塩用途に逆浸透膜を適用したいので、原水塩濃度TDSで50,000以下にする可能性を配慮。蒸留法とのハイブリッドを計画。
* 処理水の目標値を、明確にする。飲用水レベルにする必要性はない。TDS5000 でも良いはず。
* Ca, Baに注目した処理剤を適用する。凝集、分散作用ともに配慮。
* その用途を明確にした処理を提案する。
* 残留する廃棄物の処理も配慮する。

などの方針を立てた上で、処理ごとのマテリアルバランスを示しつつ、顧客と交渉した。
しかし、その答えはかなり厳しく、ランニングコスト1m3処理で1ドル(約110円)を条件にして欲しい、であった。熱エネルギーは無償でいいという条件が出てきたが、ポリマー、分散剤、膜処理費用が、足かせになる。

処理量も、3万トン日に増やすことになったので、m3コスト面ではやりやすくはなったが、
1ドルの壁は相当に厳しく、検討に時間がかかっていた。

計画に6か月程度が経過したところで、なんとアラブの原油価格引き下げがあり、このプロジェクトは採算割れのために無期延期という状態になった。
そのころは、まだ上記のような経済的な価格バランスの中で、シェルオイルは生産されているということが充分に理解できず、検討もおろそかな中、ひどく理不尽な気がしていた。
こうした技術が、すべて経済原則の中で決定されるということをまざまざと知ったのだが、検討してきたものが机上のものだから金銭的なロスがない、と思われるのも癪な話だ。
ヨーロッパ式に、計画検討の費用を最初から見積りとして請求しつつ、作業を進めたいと案じたが、日本企業相手では無理な話なのだろうな・・・

アメリカが、2017年からシェルオイルを化学産業むけに生産量を上げる話があったので、その汚染防止技術を少しだけ、話したくなりました。

こんなお話、または装置計画などがありましたら、水乃博士にご相談ください。
mazazaz88@gmail.com
Dr.Azuma,
東雅

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posted by 水乃博士 at 14:35| Comment(0) | 技術、開発、水処理、放射性物質 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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