2011年03月24日

水乃博士の「水と緑の話」放射性物質と水処理

放射性物質と水処理

水乃博士は憂いています。福嶋原子力発電所の被災が人智を越えたものであり、技術の粋を集めた原発があの状態になるとは、驚嘆と落胆のかぎりです。
博士は若いころ、福島第1原発のクラッド処理と排水回収処理、第2原発の純水装置設置工事のときに原発内に入ったことがあり、被災状況はテレビ映像を見てほぼ理解しました。
装置側については、その専門家にお任せするとして、今回は放射性物質と水処理についてお話をします。

 放射線を浴びる際の人体への影響は、遺伝子にダメージを与え、細胞のがん化や異変を起こすことにあります。また被ばくにも外部被ばく(放射線を直接浴びること)と内部被ばく(放射性物質を体内に取り込むこと)があります。
現在飲用水の問題は、後者の内部被ばくにあり、体内に滞留する場合はより危険といえます。そこで、放射性物質の水中からの除去について以降に述べます。
ヨード131、コバルト60、セシウム137などの検出についてのニュース報道がありますが、これらの数値は分析しやすい、あるいは指標になりやすい放射性物質の量だといえます。
これらの物質は放射線を受けて、自然界に存在した成分が変化して放射能を帯びたものです。
これらを取り除くには、
* 固体粒子として溶解していない場合:例えば、水中の塵やごみ、粒子に放射性物質が付着しているものであれば、ろ過法が有効であり、発電所では、0.1ミクロン程度の孔径の精密ろ過膜によってクラッド(複合金属化合物)粒子として放射性物質を除去します。
市販品としては、細菌ろ過除去機能のある水道用ろ過器が対応できます。
また、こうした処理のできる膜を販売しているメーカーは、旭化成、クラレ、東レ、日東電工、等があります。
粒子(>0.1μ)としては95%以上、放射性物質は50%程度(水中粒子レベルによる)除去できるでしょう。
* イオンとして溶解している場合:発電所では、イオン交換やゼオライト吸着等を行いますが、この方法は吸着体の吸着能力を把握していないと、吸着量以上(破過)となると急に吸着物を吐き出してしまうのでかえって危険なので、お勧めできません。
処理後の水の量は減りますが、逆浸透膜法をとるべきです。この方法は、以前海水淡水化処理のところでお話ししたように、塩類を膜によって排除し透過して水を集める方法です。水道水程に清浄な水であれば、80%以上の水回収ができます。
イオンとしては95%以上、放射性物質は70%程度(放射性イオン量による)除去できるでしょう。

但し、これらの方法は放射性物質が粒子状あるいはイオン状であることが前提であり、もし水溶性中性物質(たとえばアルコールや溶剤など)が放射性であると膜を透過します。
その際は、活性炭や特殊吸着剤が有効ですが、前述したイオン交換吸着のように吸着量の把握をすることが条件です。
こうした膜処理技術がお役にたてれば、幸いです。

このような技術相談がありましたら
水と緑の相談は
水と緑の相談は

http://www.geocities.jp/azconsultation2009/index.html



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posted by 水乃博士 at 13:42| Comment(1) | 水と緑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。とても興味深く読ませていただきました。
・固体粒子として溶解していない場合
・イオンとして溶解している場合
があるという事が分かりましたが、
今回のような事故による水道水の汚染の場合は、そのどちらになるのでしょうか?
Posted by けん at 2011年03月25日 17:27
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