2018年04月26日

水乃博士の「水と緑の話」 UV-LEDの水処理適用

UV-LED 紫外線を発する発光ダイオードについて

水乃博士が、最近の水処理装置技術で感心した“UV-LED照射装置”についての話をしたい。

まず、LEDとは何か? light-emitting diode;発光ダイオードのこと。
なぜ半導体チップが光るのか: LEDチップの基本構造は、P型半導体( + :positive 正孔が多い半導体)とN型半導体( - :negative 電子が多い半導体)が接合された「PN接合」で構成されます。LEDチップに順方向の電圧をかけると、LEDチップの中を電子と正孔が移動し電流が流れます。移動の途中で電子と正孔がぶつかると結合(この現象を再結合という)し、再結合された状態では、電子と正孔がもともと持っていたエネルギーよりも、小さなエネルギーになります。その時に生じた余分なエネルギーが光のエネルギーに変換され発光します。赤や青、緑の光を発するものがあるのは、LEDチップに使われる化合物の種類にあります。Ga(ガリウム)、N(窒素)、 In(インジウム)、Al(アルミニウム)、P(リン)など、半導体を構成する化合物によって、放出される光の波長が異なります。(Panasonic Biz 参照、引用)
LED 発光と添加金属類.png

最近、その添加する化合物に、P(リン)、B(ボロン)を加えて、基盤素材にダイヤモンド(Carbon の結晶)を用いることにより、特に短波長の紫外線(250nm 以下)を出すことができるようになりました。(つくば、物質・材料研究機構発表)
その応用が、水処理、空気清浄向けの殺菌灯、有機物分解向けの UV-LEDです。
これまでの材料配合では、350nm付近までの波長であり殺菌用途ではまだ不十分とされていたものが、235nmの光も出すところに到達しました。
まだまだ、照射量の設定や、波長の調整、寿命の考え方(一般では70%減を寿命4万時間)、装置の構成の仕方などの課題はありながらも、すでに殺菌性能は十分保証できている模様です。これまでの紫外線ランプでは、水銀を使っていること、電気使用量が多いこと、寿命が短い;1万時間)、壊れやすい、ランプ外筒管が高価などの問題がありました。

こうした新しい技術により、より環境にやさしい方法で水処理が行われ、きれいな水環境が作られることを大いに期待します。


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2018年04月23日

水乃博士の「水と緑の話」 UVの水処理利用(1)、殺菌器

UVの水処理利用(1)、殺菌器

紫外線の水処理活用の話をしましょう。
紫外線照射装置との出会いは、純水処理におけるインライン型殺菌器でした。
260nm付近の紫外線を微生物に照射すると、有機体としてのDNA,RNAが酸化・分解されて、たいていの微生物は死滅します。たいていのというのは、カビなどの芽胞性の菌類は、胞子期にはUVに耐性を有するためです。さて、一般論はいいとして、その時(30年も前)の課題は、紫外線装置をどの位置に置くと効果的なのか? 紫外線装置によって水質純度が低下するというのは本当か? 紫外線の照射線波長は調整できるものなのか? という基本的なものであり、現在では簡単に答える技術者が多くなったと思います。

その時に超純水開発チームにいた水乃博士は、試験装置として、そうしたことを確認していくことになりました。もちろん一番の課題は、純度の低下なので、その確認試験から始めました。試験をするにあたって、なぜ純度低下するのかを考察することからです。
これまでの純水装置の観察から、紫外線殺菌装置は膜処理やイオン交換樹脂装置の手前に置き、そこで殺菌すると確かに5MΩpが3MΩpになり、17 MΩpが16MΩpになった。そのころはようやくTOC(総有機体炭素)が測定できるようになったところで、0.1ppmが下限値でした。上記の個所の有機物濃度は、1ppmが0.8ppmになり、0.2ppmが0.1ppm程度になっていました。水中の有機物がUVで酸化・分解されて、低分子の有機物や炭酸ガス発生により純度低下になったと結論付けられます…。そこで、18 MΩpの超純水に対して紫外線殺菌器を設置してTOCを見たところ、0.1未満のままにもかかわらず17.5 MΩpになる。
TOCの下限で感度の問題があるにせよおかしいこと。そこで博士が気付いたのは、水中の溶存酸素濃度と微量金属のイオン化、水の分解の可能性でした。紫外線殺菌器の試験をしているのに、今度は溶存酸素の測定をして、おまけに金属イオンまで分析させられた。こうして検討しているうちに、すでに紫外線殺菌装置の位置は、イオン交換装置の前、RO膜の前、脱炭酸や脱酸素をした後が、純度維持という面では有益ということがわかった。

純度の低下の確認は、紫外線ランプ数を変えることで容易に確認できたが、TOCとの相関性が乏しかった。これも、その後に有機物分解用の紫外線照射装置を開発する際に、そうなる理由と殺菌機能との棲み分けが必要なことがわかってくる・・・後日話しましょう。
紫外線の波長は、190付近のオゾン線から350付近の有機物分解まで広くあるので、それぞれの特性を生かすために、ランプの外筒部分に含まれる金属の工夫をする、石英の純度を維持するなどのことを行いつつ、その波長を主に照射することを行っています。
実は、殺菌なんだから一番最後に行うべきだという意見もありましたが、飲用水の処理であっても殺菌後に残る微生物の死骸などを除去する必要もあるので、最後というのはおかしいのです。

また、実データを出さない原則を破ったようですが、参考ですからお許しください。
今回は、紫外線殺菌装置の話まででやめておきます。次の機会には、有機物分解装置の話をしましょう。なお、こんな話を急にし始めたきっかけは、LEDを用いてUV装置を作ることが可能になったことがうれしくて、過去の開発話をすることにしました。やはり、こっちのほうを先に話すべきだったかな。

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posted by 水乃博士 at 17:43| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月20日

水乃博士の「水と緑の話」 ボロンの水処理(純水系)

ボロンの水処理について(1)

ようやく本来の仕事が落ち着いてきたところで、真摯に水処理の話を始めることにしよう。
超純水の処理にあたって最近は金属などの水質レベルは10pptになり、有機物(TOC)も5ppbが標準という。水乃博士が超純水をよく扱っていた15年ほど前では、その10倍以上の濃度の保証であった、・・・というよりも水質分析技術が向上したがために真の超純水水質の実力が表出したと考えたほうがいいのだろう。

さて、そんな中で、処理が難しいのが表題のボロンである。
ボロンと聞くと、ガラス原料、ホウ酸、中性子制御棒、金属表面加工における光沢処理や表面保護のための被膜形成などが大きな用途(ゴルフクラブ、釣り竿、食器など)なのだが、半導体製造の分野ではNPチャンネル形成における重要な調整イオンなのだ。多分、これでは何を言いたいのかわからないので話を簡単にすると、ボロンとリンとヒ素イオンを微量に混ぜることにより、電気的な流れを制御する回路を形成する。よって、ボロンがICの洗浄用超純水に含まれていると、この制御がうまくいかなくなる。

では、このボロンを除去する処理はどのようなものか。
まず、ボロンの性質を知っておこう。元素番号5、原子量10.81、モース硬度9.3(ダイヤの次)、自然にはほぼホウ酸体として存在する。

処理方法には、イオン吸着、凝集沈殿、膜分離、溶媒抽出などがあるが、純水処理では膜法とイオン交換、EDI法が用いられている。ホウ酸体ならばイオン的な排除が容易だが、微量(ppbレベル)に存在するボロン単体となると、ほとんど処理ができないといえる。そのために、逆浸透膜前にこれまでTOC分解などで有効であった紫外線酸化の酸化作用を生かし、ホウ酸体として処理を行っている(どこまでの酸化が可能かは不明)のが実態であろう。

なお、ボロン単体が純水系に入るとすると回収系排水からの流入と想定されるために、上記の紫外線分解や、過酸化水素分解などの直接酸化処理が膜処理前の処理として、またも重要視されてくることになるのだろう。
少し、専門的に過ぎたかもしれない、難しい処理に対して技術的な挑戦は続けていきたい。

次に機会があれば、ボロンの飲用水処理についての話をしたい。

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posted by 水乃博士 at 11:53| Comment(0) | 技術、開発、水処理、放射性物質 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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